トキワ精神保健事務所です。

弊社では日頃、精神疾患(あるいはその疑い)があるが、なかなか医療につながることができていない子供(配偶者、親)のご家族からの相談を受けています。

しかし昨今は、「脱施設化・地域移行」が推進され、ますます医療にかかることが難しくなっています。この問題に悩んでいる家族は、時代の流れをよく見極め、先々を見据えた対応が必要とされています。

そのような現状を踏まえ、このブログでは、メンタルヘルスに関する制度や仕組み、ニュースなどを取り上げなら、先々に起こることを考えてみたいと思います。また、弊社がこれまでに培ってきた、対象者への対応、医療へのかかり方などのノウハウも、提供していきます。

さて、この問題に悩む家族がまず知っておくべきことは、「脱施設化・地域移行」の現実についてです。日本における「脱施設化・地域移行」は、2004年より始まった施策で、大まかにいうと、精神障害者含め障がいをもつ方々を医療機関に閉じ込めるのではなく、地域社会で生活ができるように支えていこう(=共生)という取り組みです。

この理念自体はおおいに賛成できるものですが、現実には、「医療や福祉のケアが必要な患者ほど、家庭や地域社会に放置される」というマイナスの現象も起きています。これについては、弊社押川剛の著書「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)や、トキワ精神保健事務所の公式サイトでも詳細に記述をしておりますので、ぜひ読んでいただければと思います。

さらに補足をしておきますと、現時点でも、医療につながることのできない精神障害者や、医療につながることはできても、地域での受け皿(グループホームなど)がなく、家庭に戻るしかない精神障害者が増えているにもかかわらず、2018年施行の改正障害者総合支援法では、「入居施設」から「地域」へと移行する数値の目標案が提示されています。

これはどういうことかと言いますと、グループホームなどの「施設」から、さらに進んで、一人暮らし(アパートへの入居)などを目指すものです。当然ここには、就労も併せて目標とされています。

「入居施設」から「地域」への移行が達成できなければ、施設に対して入所者数を削減する、という案も提示されています。膨らみつづける障害福祉サービス関連予算を減らすためということもあるのでしょうが、一般的な就労や一人暮らしの難しい精神障害者は、ますます行き場がなくなり、家族のもとへ戻るか、もしくは地域に放置されるようになりかねません。

この現状については、今後も注視していく必要があります。