弊社では、これまでに数多くのご家族から、相談を受けてまいりました。

ご本人(主に子供や配偶者)が健全な日常生活を送れなくなったきっかけや原因は、それぞれによって異なります。その過程において家族が何もしてこなかったのかと言うと、家族なりにいろいろと手を尽くしてきています。

しかし、結果的には、最終目的である「自立」には結びつかず、家族関係も悪化。長い年月を経て、家族もいよいよ「これはもう精神科医療につながないことには何も始まらない」と思うようになっているケースがほとんどです。

そこに気づいても、家族ではご本人を医療につなげることができず、頓挫してしまう理由は、おおむね以下の三つに絞られます。

・本人を説得できない

・病院を確保できない

・移送手段がない

この問題については、制度や仕組みにも大きな欠陥がありますが、ここではまず「家族にできること」に焦点を当てて、考えてみたいと思います。(制度や仕組みの問題については、押川の著書子供の死を祈る親たち (新潮文庫)に詳しく書かれています。興味のある方はぜひお読みください)

まず、年月の経ってしまったケースほど、事態は深刻です。ところが家族は、経年により客観性や思考力が低下していることに加え、家族からすれば「変わらない毎日」を過ごしているため、第三者が介入するために必要とする情報を把握(説明)できていません。ゆえに、公的機関など第三者への相談の仕方そのものが「これでは、どこにも相手にしてもらえないだろう」と容易に推測できるほど、崩壊しています。

たとえば、保健所に相談に行った際、担当職員は、当事者が危機的状況かどうかも含め、対象者の情報を得るために質問をしていきます。家族はこれに対して、要点を簡潔に伝えるべきなのですが、「自身がいかに困窮しているか」という感情面の話ばかりを、とめどなく話してしまう方が少なくありません。

弊社は民間企業で相談料を頂いて相談に乗っておりますので、状況に応じて、家族が納得いくまでお話を聞いたり、あるいは途中で「それではダメですよ」と厳しいことを言ったりして、ヒアリング(聞き取り)を進めていきます。しかし公的機関の場合は、担当職員も、ひとつの家族にそこまで時間をかけるわけにもいかず、結局は聞くだけに終始し、危機レベルの把握もできず、介入の糸口もつかめないまま、相談を終えることになります。

しかし家族からすると「保健所が」「主治医が」「警察が」……「何もしてくれなかった」と被害者意識を強め、その状態で、あちこちに相談に行くことになります。それを重ねるほど、家族も「困ったちゃん」と捉えられ、事態は進展しません。家族はますます追いつめられ、家族もまた、精神科医療が必要な状態になる場合も少なくありません。

この負の連鎖を断ち切るためにも、「相談に行っても職員の反応が悪く、明確な回答が得られない」というご家族には、あえて厳しいことを言います。

まずは、「家族だけではもう、本人を適切な環境に導けない」「家族ではあるけれども、もう本人の対応ができない」という時点で、自分たち家族の問題は「誰も積極的には関わりあいたくないケース」であることを、家族自身が認識してください。

つまり、うまく進まない原因は、対象者本人だけでなく、家族側にもあるのです。

そこを理解・認識するだけでも、家族が相談機関を訪れた際の担当職員への話し方、説明の仕方、お願いの仕方が変わるはずです。「大変なケースであることは家族も十分承知しており、自分たちでできることはきちんとやるので、何とか皆さまの手を借りて助けていただきたい」という姿勢を示すことが、最初の一歩となるのです

家族が現実を受け入れ、もう一度相談機関に相談にいってみようと思われるならば、弊社ホームページの「記録」こそが家族を救う!~専門機関へのアクセスを可能にする~も併せてお読みください。相談の際のノウハウについて、詳細に述べています。