福岡県北九州市のアパートで20日、女性の遺体が発見された。警察は「娘を殺した」と通報した60代の母親から事情を聞いていて、容疑が固まりしだい殺人容疑で逮捕する方針。

20日午後7時前、北九州市八幡西区則松のアパートから、女性の声で「娘の首を絞めて殺した」と警察に通報があった。警察が現場のアパートに駆けつけると、部屋の中で30代とみられる女性の遺体を発見した。警察はアパートにいた60代の母親から事情を聞いていて、容疑が固まりしだい、殺人の疑いで逮捕する方針。

警察によると、死亡した女性は生まれつき重度の障害があり、母親が介護していたという。

引用:日本テレビ系(NNN) 2017/3/21(火)

このような事件が起こると「こうなる前に、どこかに相談することはできなかったのか」という声があがります。たしかに、行政には障害に応じて多数の相談窓口が設けられていますし、制度上はさまざまな支援が受けられることになっています。

内閣府 行政による障害者施策(相談窓口) 

しかし、「障害が重いほど相談しにくい」という現実もあるのではないかと思います。弊社では、精神疾患に関する相談を主として受けていますが、「本人から目が離せない」「本人に束縛されている」などの理由で、電話相談ですら容易にかけられない、とおっしゃる家族もいます。

また、本人の日常生活を支えることや、介護の大変さが身に染みて分かっているからこそ、安易に第三者を頼ることができない家族もいらっしゃることでしょう。

相談をすれば、支援の糸口が見つかる可能性は充分にあります。話を聞いてもらうだけでも、家族側の心理的負担は軽減されるでしょう。しかし「家族では支えきれない」という限界点に達した家族に対して、現実的かつ即効性のある解決策が用意されているかというと、そうではないという現実があります。

たとえば居住型の入所施設は、身体・知的・精神のいずれも、数が少ないこともあり、どこも順番待ちの方がたくさんいる状況です。

厚労省の障害保健福祉部予算は、平成29年度で1兆7486億円。10年前(平成19年9,004億円)に比べ2倍近くになっていますが、重度の障害を抱え、SOSを発することもままならない状況にある当事者や家族に、真に必要な支援が届いているかは、疑問に感じるところでもあります。

(以下、厚労省HPより)

障害者施設殺傷事件の起きた津久井やまゆり園では、大規模収容施設の建て替えを表明しましたが、障害者団体などから「地域生活への移行に逆行する」と異論が相次ぎ、基本構想を事実上撤回しました。参考記事:東京新聞

一方で、入所者の家族会会長は、「地域への移行ができないから園で暮らしている。現実を考えたら一日も早い建て替えを」とコメントされています。

障害の有無に関係なく、市民が地域社会で共生できることは、最大の理想でもあります。しかし、介護に関する人手不足は深刻ですし、2025年には社会保障がパンクするとも言われています。

限られた予算、人員の中で、このような哀しい事件を防ぐために何ができるのか。現実的な解決策こそが、求められています。