アメリカの現状をテーマとした一冊ですが、この本はむしろ、小・中・高の子供をもつ親御さんに読んでいただきたい! と強く思います。

本書の内容は、教育、金融、製造業からトランプ大統領のこと、AI・データ・バイオなどハイテク産業までオールジャンルにわたり、読みすすめるほど、「これはアメリカだけの話ではない。日本も遠くない未来にこうなるのだろう」と感じられるからです。

ここで、著者である小林由美さんの経歴を一部、引用させていただきます。

1975年東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行に女性初のエコノミストとして入社。長銀を退職後、スタンフォード大学でMBA取得。82年ウォール街で日本人初の証券アナリストとしてペインウェバー・ミッチェルハッチンスに入社。85年経営コンサルティングJSAに参加後、ベンチャーキャピタル投資やM&A、不動産開発などの業務を行い、現在にいたる。

30年以上アメリカに暮らし、経済を通じてあらゆる業界を見てきた著者が、「過去」の歴史を振り返りながら、膨大なデータをもとに「現在」を分析。そして、「未来」に思いをはせているのが本書です。

弊社では、子育て中の親御さんから、「子供に何を教えればよいのか」「子供をどう育てていけばよいのか」といったご相談を受けることもあります。情報があふれ、ハイスピードで時代が変化する今、既存の子育てノウハウや、「自分のときはこうだった」「これさえやっておけばよい」という考えが通用しないことは明白です。そもそも大人たち自身が、自分の仕事や将来設計に不安を抱いています。

このような時代に、親にできることは何か。それは、子供と一緒に未来に思いをはせ、「どう生きるか」ということを、子供とともに語り合うことではないかと思います。以前、押川がスポットライトのインタビューでお答えしたように、子供に責任のある「自由」を与え、「決断できる人間」に育てるのです。

弊社にも20代の若いスタッフがいますが、インターネットや周辺機器の扱い、情報収集能力などは、とても彼らには適いません。彼らの新しい発想、物の見方などから、学びを得ることも多くあります。私たち大人にできるのは、彼らの縁の下の力持ちとなり、自由に伸び伸びと仕事ができる環境を作ってあげることだと、つくづく感じます。

迫り来る変化の時代は、我々大人には脅威であっても、子供たちにとっては、自由で面白い時代となりうるのでしょう。著者である小林由美さんがそれを意図して書いた……というのは私の想像に過ぎませんが、本書は高校生(読書家であれば中学生)でも読めるほど、難しい話も分かりやすくまとめられ、やさしい言葉で書かれています。

ここで、著者からの印象的なメッセージを、引用させていただきます。

フロンティアが拡大すると、関連する既存産業や既存分野、既存のやり方や職業などに、元の仕組みを突然時代遅れで価値の乏しいものにしてしまう大きな変化が起こります。いわゆるdisruptive change(既存のシステムを崩壊させるような革命)です。今起きている技術進歩はフロンティアが広範囲なので、disruptive changeが起きる範囲も当然広くなります。変化を先導する機会は豊富にありますから、開拓時代のようなものです。そんなエキサイティングな時代に生きたら、面白い人生になりそうです。でも逆に、気づかない間にdisruptive changeに見舞われていた、という事態は避けたいものです。

引用:超一極集中社会アメリカの暴走(小林由美著)

どうぞこの本を手に、親子で、ワールドワイドに起こりうる「未来」について、語り合ってほしいと思います。親よりも子供のほうが、柔軟で自由な発想で、楽しいアイデアを思いつくことでしょう。それこそが、新しい未来を切り開く力になるはずです。