家族の問題は、なかなか他人に話しにくいこともあり、家庭内で溜めに溜めたあげく、いよいよになって第三者に相談にいかれるケースが少なくありません。

その時点では、問題は深刻かつ複雑になっていることが多く、家族は追いつめられた心理状態で専門機関に赴くことになります。そのような家族が陥りやすいこととして、「問題点が整理できていないまま相談に行く」ことが挙げられます。

子供の問題で悩んでいる親が、最終的に望むことと言えば「親を頼ることなく生きていってほしい」ということに尽きますが、そこに至るまでには、数々のハードルを越えなければなりません。

しかし、問題を溜めに溜めてきた家族に限って、行政などの相談機関に行くなり、「(子供に)自立してほしい」「就労してほしい」と、いきなり最終目標を訴えてしまいます。とくに長期にわたるひきこもりでは、「実は精神疾患だった」というケースが少なくありません。そのような方に対して、最初から「自立」や「就労」を目標に支援を求めても、うまくいくはずがありません。

本当に「ひきこもり」ですか?」の記事にも書いたとおり、弊社への相談事例でも、当初は、「ニートで働かない。就労させたい」といった相談から入ったものの、生後から現在までのヒアリングを詳細に行ったところ、精神科入通院歴があり受療中断しており、日常生活の状況からみてもアルコール依存症が疑われ、まずは専門の医療機関につないだケースがあります。

そこで家族には、どこへ相談に行くにしても、まずは一度、問題点を整理してみることをお勧めします。具体的には、本人がどのような状態にあり、家族は何に困っているのかという問題点を一つ一つ挙げてみて、そのうえで、何からとりかかるべきなのか、優先順位をつけるのです。

とくに最近は、ひきこもりの長期化・高齢化が大きな問題となっていますが、本人が高齢化しているということは、当然のことながら、親も高齢化しているということです。60、70という年齢になると、親自身がなにかしらの身体疾患や認知症を患っていることも珍しくありません。

このようなケースの場合、多くは、親ではなく本人のきょうだいが弊社に相談に来られます。きょうだいは初め「(問題を抱える)本人の言動に、両親が振り回されている。どうしたら良いか?」という相談から入るものの、いろいろとお話しするうちに、「実は父親にも認知症の疑いがあって、家計の管理ができていない」とか、「母親もうつ病のような状態にある」、「両親の仲が悪くて、とても本人を支えられる状況にない」など、次から次へと「家族の問題」が出てきます。

さらには、電話をかけてこられたきょうだい自身が、「実は私も会社を解雇されて転職をしたばかりで」「実は離婚をしたばかりで」などと悩みを抱えていることもしばしばです。社会全体が不安定な今、これも致し方ないことなのでしょう。

しかし、相談に行った先で、このように「あれも、これも」と話しはじめてしまうと、先方も困惑するばかりです。弊社のような民間企業であればトータル的な対応もできますが、昨今の行政の相談・支援先は多様化し、細かく枝分かれしています。結局、「その件については、〇〇に相談してください」と言うしかなく、家族からしてみれば「たらい回しされた」と感じてしまいます。

相談を受ける側としては、家族の「早く楽になりたい」「一気に解決したい」という気持ちばかりが先走っているように思えることもしばしばです。家族の現状認識が目の前の現実からかけ離れているようでは、相談先から「家族にも問題あり」とみなされ、まずは家族に落ち着いてもらおうと、かえって様子を見る方向にもっていかれてしまうこともあります。

対象者のきょうだいこそ、家庭内では唯一、物事を客観的にみられる立場にありますから、いったん気持ちを落ち着けて、問題点を整理してみてほしいと思います。そして、もっとも緊急的に支援を要する事柄とは何か。本人も親も問題を抱えているのであれば、どちらを優先して対応すべきなのか。優先順位をつけてみてください。

そのうえで、家族が欲する支援を受けられる相談・支援先を探し、「家族として〇〇の支援を求めている」と、明確に助けを求めてください。

※行政機関などへ相談される際のポイントは、弊社ホームページでも詳しく記載しております。