以前より弊社では、対象者(精神疾患あるいはその疑いのある方)のごきょうだいからの相談も、数多く受けてまいりました。

最近はその中でも、親が倒れた(もしくは亡くなった、介護施設に入所したなど)の理由から、きょうだいが急遽、対応をとらざるをえなくなるケースが増えています。

本人は、親の遺した持ち家や預貯金などでかろうじて生活はできていますが、きょうだいが会いにいくと、「会話が通じない」「常に独り言を言っている」「自宅が物だらけでゴミ屋敷になっている」など、精神疾患を疑う言動があります。

また、本人の年齢は50代となっていることが多く、「痩せ細っている(または極度に太っている)」「糖尿病のような症状が出ている」「身体の一部が動かないようだ」など、心だけでなく身体的な疾患も疑われる状況です。

こういった家庭では、きょうだいは早くに家を出ていることが多く、本人の様子はほとんど知らずに過ごしてきています。親が倒れたり亡くなったりしたことで「数十年ぶりに会いました」という方も、少なくありません。

きょうだい自身は、すでに結婚して家庭を持っていることも多く、相談を受けていても、「本人を支えることは、現実的に難しい」「できれば関わりたくない」といった気持ちが感じられます。そこで、弊社のような民間の会社を探し、「何とかしていただけないか」と相談に来られるのです。

弊社では、ご本人の現状を把握し、必要とあれば医療や福祉につなげる業務を行っています。また、その後の継続したサポートの業務などもありますが、民間企業であるがゆえに、どの業務も有料となります。

きょうだいでは金銭的な負担ができないということであれば、やはり行政機関や医療機関を上手に利用するしかありません。

本人に資産がなく、親族も経済支援ができずに生活が困窮しているならば、生活保護を受給することも一つの方法です。また、明らかに精神疾患等の病状があるのであれば、医療につながることで、障害年金を受給できる可能性があるかもしれません。

最近は、長期にわたりひきこもる方を対象とした、民間の自立支援センター、自立支援施設なども増えております。本人の対応を一手に引き受けてくれることから、きょうだいとしては、そういった民間企業を頼りたくなる気持ちもあるでしょう。

しかし弊社としましては、まだ一度も管轄の行政機関に相談に行っていないケースに限っては、まずは行政への相談をお勧めしています。

メンタルヘルスに関する主な行政機関としては

・保健所や精神保健福祉センター

・役所の福祉課(名称は自治体によって異なります)

が挙げられます。

相談の際には、弊社HPの「兄弟・姉妹の方へ」や『「記録」こそが家族を救う!~専門機関へのアクセスを可能にし、誤診を防ぐ~』に書いてありますとおり、本人の状況が分かる資料を持参し、専門職の方の判断を仰ぎましょう。

仮に行政機関が動いてくれなかったとしても、行政の専門職の方が本人の現状をどのように判断したのか(「医療につないだほうがいいと言われた」等)は、一つの目安になります。それにより、医療につなげる具体的方法を考えるのか、あるいは自立支援施設等を探すのかなど、今後の方針を立てやすくなるからです。

なお、最近の相談傾向をみておりますと、ある程度、経済的に余裕のあった親世代(60~80代)が、病気等が理由とはいえ家庭にひきこもる子供の面倒をみてきた(言いかえれば、放置してしまってきた)ツケが、きょうだい世代に引き継がれており、一つの転換期を迎えているのを感じます。

簡単に解決できる問題ではありませんが、きょうだいの方には、せめて本人の現状を行政機関に把握していただけるよう、行動を起こしていただきたいと思います。