以前、当ブログでも紹介しました病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 ですが、著者の上昌広氏が『名門「聖路加国際病院」が経営危機に陥るわけ」(yahooニュース掲載)と題する記事を執筆されています。

上氏がとくに懸念しているのは、首都圏で医師が不足していることです。

首都圏が抱える問題は、病院の経営難だけではない。経営難はあくまで金の問題だ。診療報酬体系の規制緩和などで、対応できる側面もある。深刻なのは、首都圏で医師が不足していることだ。医師の養成には時間がかかる。早急に対応しないと手遅れになる。

読者の多くは「東京には医者が多いので、埼玉県、千葉県、神奈川県で多少不足しても問題ない」とお考えかもしれないが、この考えは間違っている。首都圏では医師の絶対数が足りないからだ。人口10万人あたりの医師数は230人にすぎない。四国は278人、九州北部は287人だ。実に2割以上の差がある。

さらに、首都圏は医師の偏在が著しい。人口10万人あたりの医師数は東京都314人に対し、埼玉県155人、千葉県179人、神奈川県202人だ。東京だけは医師が多いが、他の3県は南米や中東並みの数字だ。

首都圏は広い。全ての患者が東京の病院を受診できるわけではない。

引用:yahooニュース2017/05/10

同記事の中では、医師に加えて看護師の不足も指摘されています。

最近、厚労省は在宅診療などを強化した地域包括ケアシステムの確立を目指しているが、その際、重要な役割を果たすのは看護師だ。現状では、首都圏で地域包括ケアシステムを立ち上げるなど、机上の空論と言わざるをえない。

首都圏では医師と看護師が不足し、おまけに病院経営のコストも高い。このまま無策を決め込めば、早晩、首都圏の医療は崩壊する。

引用:yahooニュース2017/05/10

なお、聖路加国際病院については、日経メディカルでも取りあげられており、6月からは、一部診療科に限定して、土曜外来を休止することになったそうです。

私たちはこれまで、国民皆保険制度、そして保険を利用しての高度な医療サービスを当たり前のように享受してきましたが、それらが終わりを告げる日も遠くないのかもしれません。

この問題は、精神科病院も同様であると考えられます。最近の家族からの相談では、「精神科病院に受診の問い合わせをしてから、実際に診察を受けられるまで二ヶ月待ちだった」というお話も耳にしました。児童精神科においては、予約が半年先になることも珍しいことではありません。

精神科病院での入院治療(病院に受け入れてもらえるかどうか)は、一般的な病気の治療を受ける場合よりもハードルが高いことは事実です。ここには「本人の意思を尊重すべき」という精神科医療の流れや、厚労省の推進する地域移行の影響などもありますが、今後は、医師不足や看護師不足の問題も相まって、その傾向がますます強まることが予測されます。その推移を注意深く見守っていきたいと思います。