現在、精神科病院における入院治療は「早期退院」が基本とされており、その目安は三ヶ月となっています。

病気を発症してから比較的早い段階で医療につながることができた患者さんや、未受診の期間があったものの服薬治療がうまくいった患者さんなどについては、三ヶ月の入院治療でみるみる快復される方もおられます。

しかし、未治療の期間が長く、重篤化した状態で入院した患者さんや症状が慢性化している患者さんなどに関しては、三ヶ月の治療期間は短いと言わざるをえません。また、症状が重篤化、慢性化した患者さんを支える家族にとっても、三ヶ月という時間はあまりに短く、あっという間に過ぎてしまいます。

弊社が見てきた限りではありますが、まずこういったご家族は、患者さんとの暮らしの中で神経をすり減らして生活しており、医療につなげることができると、その安心から放心状態になってしまいます。

その後、少し元気が快復すると、家族は「今までできなかったことをやらなければ」という思いにかられます。たとえば、家の掃除や片付け(本人がいる間は、物を動かしたり捨てたりすることを禁じられており、できていなかった)、家族自身が医療にかかる(具合が悪くても、本人に外出を止められており、病院に行けなかった)などです。

そうして家族が本来の日常を取り戻しはじめた頃に、医療機関のソーシャルワーカーから、「今後のことを話し合いたい」と呼び出しがあることが多いものです。

家族は、入院中の本人と面会し、顔色の良さや保清(入浴や散髪)のおかげで身ぎれいになった姿に、入院治療の効果を見てとり安堵する一方で、会話をはじめてみると、認識の歪みや妄想があるなどし、どう会話をすべきか戸惑ってしまいます。さらに、親子関係が悪い家族の場合、「なんで入院なんかさせたんだ」と恨み言を言われることもあり、家族としては、見た目はともかく内面については、「入院前と同じ」という印象を受けることもあります。

そのため家族は入院継続を望みますが、入院治療の基本は「三ヶ月」です。病院の方針や医師により多少の違いはあっても、患者が院内において落ち着いて行動ができるのであれば退院となります。厚労省の指導もあり、長くても一年を超えることはほとんどありません。

そこで、弊社からのアドバイスとして、この「三ヶ月」を有効活用するために家族がしておくべきことを、簡潔に述べておきます。

まず大前提として、入院後なるべく早い段階でソーシャルワーカーに面談を申し入れ、今後のことを相談しておくことです。その際、入院時の診察等では話していなかったこと(本人の家庭での様子、家族との関係、生育歴やこれまでの経緯など)をありのままに伝え、退院後の家族での支援が難しいのであれば、施設入所も含め、自立支援医療など公的支援を受けたいと考えていることを伝えます。

精神保健福祉法が改正され、制度上は、家族の負担を減らし、患者さんを地域社会で支えることが定められていますが、親きょうだいがいて住む家もあるという場合には、「退院後は自宅に戻り、通院治療を受ける」という方向で、退院が進められることになります。退院後のことについては、医療機関側から、家族関係を慮った道筋を立ててくれるわけではないことを、理解しておきましょう。

なお、家族が面会する際に、本人に妄想や認識の歪み、家族への暴言等があるのであれば、看護師あるいはソーシャルワーカーにも面会に同席してもらい、本人の状態を把握してもらいます。退院の時期など最終決定は主治医が行いますが、看護師やソーシャルワーカーにあらかじめ家族の意向を伝え、患者さんの状態をよく把握してもらうことで、家族の希望について口添えしてもらえる可能性も出てきます。

「主治医やソーシャルワーカーからこう言われたから、こうするしかないんだ」と受身の姿勢になるのではなく、希望や不安に思うことはどんどん伝えるべきです。そして、患者さんだけでなく家族も、病院職員の方々と積極的に人間関係を育んでいくことです。