今月より、知的障害や精神障害があり、性犯罪を繰り返す人を対象とした更生支援(地域における再犯防止プログラム)のモデル事業が、長崎県で始められました。以下は、長崎新聞からの引用です。

国立精神・神経医療研究センター(東京)が、知的・精神障害があり、性犯罪を繰り返す人を対象にした地域での再犯防止プログラムのモデル事業を今月、本県(注:長崎県)で始めた。性犯罪をした障害者に対する更生支援の仕組みは国内では整っておらず、同センターは成果が得られれば全国に普及させたい考えだ。

性犯罪は一般的に再犯率が高いと指摘されており、厳罰化に向けた法改正も議論されている。2004年に奈良県で起きた女児殺害事件をきっかけに国は06年、刑務所と保護観察所で性犯罪者向けの再犯防止プログラムを導入。しかし、対象者が出所したり保護観察期間を終えたりした後、地域で継続的にフォローする仕組みはできていない。さらに加害者に障害がある場合、障害の特性に応じて更生を支援できる人材が少なく、再犯防止の有効な手だてがないのが現状だ。

引用:長崎新聞 2017/05/29

長崎県におけるモデル事業では、イギリスの更生・治療モデルを基に、日本に合ったワークブックを作成、性犯罪をした10~30代の知的・精神障害者数人が県北地域の福祉施設に通い、ワークブックに沿って、性の知識や認知のゆがみ、被害者感情などを学んでいるそうです。

以前、司法精神医学の権威でもある先生が、海外の精神科医療は今、パーソナリティ障害や依存症、性犯罪が中心となっているとお話されていました。比べて日本では、それらの疾患は精神科医療にとって未だ「招かれざる客」であることに、憤慨されてもおりました。

論文や海外の書物などを読みますと、依存症含め精神疾患に関する研究は、脳や遺伝子からのアプローチも含め飛躍的に進んでいます。一方で、日々ご家族からの切実な相談を受けている立場としては、まずは当事者が適切な治療を受けられるよう、医療の充実や、医療につながるための仕組みができあがることを期待したいところです。

なお、4月には佐賀県警が、精神科医療機関や行政と連携し、ストーカー加害者の立ち直りをサポートする制度を開始したというニュースもありました。

ストーカー更生 県警と医療機関、行政が連携

佐賀県警は、精神科医療機関や行政と連携して、ストーカー行為をした加害者の立ち直りをサポートする制度を本年度から始めた。通院歴や言動などから精神疾患の可能性がうかがえる場合、精神科での受診を勧め、再発防止や被害者の保護につなげる。

肥前精神医療センター(神埼郡吉野ケ里町)など県内3医療機関や県障害福祉課と連携する。ストーカー行為をした加害者に精神疾患の可能性があれば受診を勧め、加害者の同意を得た上で、関連情報を医療機関に提供する。

(中略)

警察庁が15年度まで2年間実施した調査研究で、つきまとい行為を繰り返す加害者にカウンセリングなどを実施することによって再発防止効果が得られたため、制度導入を決めた。同様の制度は九州内では宮崎、福岡、鹿児島の3県が取り組んでいる。

引用:佐賀新聞 2017/04/19

このような取り組みに関しては、基本的には国がある程度の指針を出し、制度化するものの、実際の運用は各自治体に任されています。近年は、こういった問題に積極的に取り組む自治体と、予算や人員不足から手つかずのままの自治体の差も、ひらいてきたように思います。

いずれにしましても、昔に比べて支援自体は増えつつあります。悩んでいる当事者、またご家族で、まだ一度も行政に相談にいったことがない方(もしくは、何年も前に相談したきり、という方)は、今一度、お住まいの自治体がどのような支援や制度を行っているのか情報収集をしたり、精神保健に関することであれば、まずは管轄の保健所、精神保健福祉センターに相談に行ってみることをお勧めします。