7月16日、神戸市北区で80代の祖父母と近隣女性の三人が刃物で刺されて死亡し、2人が大けがを負う事件が発生しました。

逮捕されたのは26歳の孫で、銃刀法違反で逮捕された当初は、「誰でもいいから攻撃して刺そうと思った」などと供述していましたが、殺人の疑いで再逮捕されたあとは、調べに対して黙秘しているということです。

神戸で発生した殺傷事件、26歳の孫を逮捕

神戸5人殺傷、26歳男を殺人容疑で再逮捕

いまのところ、過去に家族や近隣とのトラブルはなかったと報道されています。むしろ、容疑者が被害者の祖父母と同居していたことを「知らない」という近所の人もおり、最近の様子を知る人が少ないようです。まさに、孤絶化した家庭内で起きた事件です。

逮捕の男、近所も「知らない」 地味なタイプで目立たない 人物像は…

またこの事件を受けて産経新聞では、増える傾向の親族間殺人 昨年は殺人事件総数の55% 「将来を悲観」や「不仲・トラブル」と題する記事を掲載しています。

 警察庁による平成26年の実態調査では、同年に摘発した親族間の殺人や傷害致死などの事件計272件のうち父母や祖父母が被害者になったのは96件(35%)。動機別では、介護や育児疲れ、金銭困窮などによる「将来を悲観」が91件(33%)。次いで「不仲・トラブル」が69件(25%)、「加害者の心神喪失」も57件(21%)あり、被害者と加害者の約8割が同居していた。

引用:産経新聞2017/07/16

弊社では業務柄、親族間殺人とメンタルヘルスの関連に注視してきましたが、このことは、「加害者の心神喪失」も57件(21%)という統計からも明らかです。

また、「被害者と加害者の約8割が同居していた」とありますが、約40年前に「子殺し・親殺し」について研究した中谷瑾子慶應義塾大学名誉教授(故人)は、子殺し・親殺しを誘発する要因として以下を挙げています。

「世代を異にする家族同居の場合に誘発される」

「両者間の些細な不満が解消されないまま雪だるま式に膨れ上がり、その葛藤の果てにこの犯罪が誘発される」

この指摘は、現代の親族間殺人においても、十分に当てはまるように思います。

弊社の業務の経験から、今回の事件報道で気になることは、

・被害者は、消防署署長に任命されるほどの人格者

・現場となった被害者の自宅は、神戸市の登録有形文化財であった

・容疑者は、26歳で無職

・近隣の方々は、容疑者が同居していたことさえ知らない

というように、外から見える当事者家族からは、事件が起きるような背景が伺い知れないということです。しかしながら、命にかかわるような事件が起きるには、少なくとも健全とはいえない家族関係や、経過(期間)があったはずです。

家庭内で起きるトラブルが、とくに精神疾患や歪んだパーソナリティによるものであれば、初期の段階で第三者の介入が必要になることは言うまでもありません。そしてその時は、体裁を捨てて包み隠さず経緯を説明することが、事件を防ぐ重要なポイントとなります。

末筆ながら、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。