お盆のシーズンになりました。久しぶりに故郷に帰り、実家に顔を出す方も多いことでしょう。

さて弊社では、長期休暇の後には、きょうだいからのお問い合わせが増加する傾向にあります。「久しぶりに実家に帰ったところ、精神疾患(疑い含む)をもつ本人の状態が悪くなっていたのだが、どうしたらよいか」という相談です。

これは、本人が長くひきこもり状態にある場合も同様で、きょうだいは「本人と話をしようとしたが拒否された」「親に今後どうするつもりかと訪ねても、『心配いらない』と言うだけ」などと訴えます。

本人ときょうだいが離れて暮らしていると、親としては、「他の子供たちには心配をかけたくない」との思いから、事実を隠したり、矮小化して伝えたりしてしまいがちです。

一つの事例として、毎日新聞経済プレミアの連載第二回目では、「息子の精神疾患を30年隠し続けた両親の葛藤」と題する記事を掲載しています。ひきこもりがちなきょうだいがいて悩んでいる方には、このような現実があることも参考にしていただきたいと思います。

ここでは、実際に実家に帰省した際に、気をつけておくべきポイント等を、弊社の経験から幾つか、お話しておきます。

第一に、せっかくの機会ですから、実家の様子をよく見ておくことです。本人の生活状況はどうか。精神疾患があるのであれば、通院や服薬、第三者との関わりは適切におこなわれているかといったことはもちろん、同時に、親の健康状態はどうか、日々の生活が満足に送れているかにも気を配りましょう。本人の部屋には入れてもらえなくとも、家全体の雰囲気(家の中の片付き具合、換気や庭の手入れがされているかなど)は、判断材料の一つになります。

親が高齢になりつつある場合は、元気なうちにできるだけ、これまでの経緯を聞き取っておきます。具体的には

・本人が精神疾患を発症した時期(または、ひきこもるようになった時期)

・思い当たる理由など

・本人の受診歴(精神科に限らず、内科・外科・歯科などの受診歴も聞いておく)

・親が公的機関や医療機関に相談した履歴があるのか(あれば具体的に、いつ頃、どこに相談に行ったのか、どのような助言を得たのか聞いておく)

また、きょうだいとしてもっとも気になるのが「今後のこと」でしょう。この先、きょうだいが親に代わって対応を考えていくにしても、親が存命のうちは、その意向が尊重される傾向がありますから、親の意思を確認しておく必要があります。

・経済面含め、本人の今後をどのように考えているのか

・(本人に精神疾患の疑いがある場合)医療につながる必要性を認識しているか

・これから先、親に介護が必要になったとき、どうするつもりなのか

 →親が施設などに入所するつもりなのか?

 →在宅介護になるとしたら、ヘルパーなど第三者が家に入れる状況か?

 

親から、「心配いらない」「お前達には迷惑をかけない」などと言われてしまい、どうしても向き合ってもらえない場合には、親子の話し合いの場に、第三者を同席させるという方法もあります。

第三者とは、たとえば、事情をよく知り客観的な判断ができる親戚や、きょうだいの配偶者(夫や妻)などです。我が子に対してはなかなか話し合いに応じない親も、親戚や義理の息子(娘)の言葉であれば、安易に逃げるわけにもいかず、真摯に受け止めざるを得なくなることも多いです。

これは、親戚一同が集まりやすい、帰省シーズンだからこそ、できることでもあります。

親に対して一方的に解決策を求めたり、その場で結論を出そうとしたりすると、かえってハードルが高くなります。まずは、実家で起きている正確な事実を把握し、親の率直な気持ちを聞き出すことが第一歩です。

 

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