『「子供を殺してください」という親たち』に登場するケースを彷彿とさせる事件が起きてしまいました(@バンチweb電子版では現在、該当ケースの中・後編である第5話、第6話が無料で読めます)。

 28日午後5時ごろ、埼玉県伊奈町小室の2階建て住宅で、上尾署員が女性の遺体を見つけた。一部白骨化し、死後数カ月たっているとみられる。目立った外傷や室内に争った跡はなかった。同署によると、住宅には70代女性と40代長女が暮らしていたとみられる。同署は司法解剖して死因を調べるとともに、遺体は70代女性とみて身元確認を進める。  別居の次女が「母の家を訪ねたが、姉が室内に入れてくれず、母の安否が確認できない」と近くの交番に届けた。署員が住宅1階で女性の遺体を発見し、室内に長女がいたという。  次女と2人はここ数年連絡を取リ合っていなかったが、次女が今年に入り、2人の転居先を知ったという。次女は1週間ほど前から住宅を2回訪れ、長女とは会えたものの、母親に会えなかったため、交番に届けた。同署は死体遺棄事件の可能性もあるとみて、長女から事情を聴いている。

引用:埼玉新聞/2017年8月29日

 

記事からは、40代の長女がいかなる理由で母親の遺体を数ヶ月も放置していたのか、読み取ることはできません。しかし、長女と次女が数年もの間、連絡をとっていなかったことから、家族の間に何らかの問題があったことがうかがえます。これは、親子、きょうだいのつながりが弱まる中、誰にでも起こりうることでもあります。

先日の記事(介護と障害の“ダブルケア”)でも書きましたが、高齢の親と子供(当事者)が実家にこもりがちで、訪問しても応じてもらえないような場合、きょうだいの立場として、何ができるでしょうか。

精神疾患が疑われるのであれば、実家のある管轄の保健所を訪れ、自宅訪問をしてもらえないか、頼んでみることも一つの方法でしょう。過去に親が当事者のことを相談していれば、履歴が残っている場合もあります。

家族と連絡がとれなくなり、実家に入ることが難しい状況で、なおかつ安否が危ぶまれるようであれば、所轄警察署に相談に行ってください。

いずれにしても公的機関に動いてもらう場合には、現在に至るまでの経緯をきちんと説明できるようにしておくことです。親や当事者に最後に会ったのは(連絡をとったのは)いつか。その時、どんな話をしたのか。たとえ疎遠になっていたとしても、接触があった折りには、きちんと記録をつけておきましょう。実家や親・当事者の様子が分かる写真などがあれば、それらも持参します。「記録」が重要であることは、過去にも繰り返し述べてきたことです(参考:トキワ精神保健事務所HP「記録」こそが家族を救う)。

余談ではありますが8/29のクローズアップ現代+では、「あなたの遺骨はどこへ!?~広がる新たな“処分”~」と題する報道がなされていました。けっして抗えない「老い」や「死」を、いかに穏やかに迎えるか。その難しさをあらためて突きつけられた思いがします。