8月22日、秋田県横手市で、木造アパートが全焼し、5名が死亡した事件がありました。全焼したアパート「かねや南町ハイツ」は、精神科病院を退院した患者や、グループホームでの共同生活を好まない人が地域で生活していく拠点でした。そして火災から1ヶ月が経った現在も、入居者の多くが行き場を失ったままだと言います。

かねや南町ハイツのような、食事付きで管理人もいるアパートはめったにない。精神障害者を支援するNPO法人秋田県心の健康福祉会(秋田市)顧問の藤原慶吾さん(79)は「精神障害者の多くは、低収入や偏見などからアパートへの入居を断られる場合が多い」と指摘する。

精神障害者の高齢化に伴い、これまで世話をしてくれていた親や兄弟ら身寄りが次第にいなくなり、住まいに困るケースが全国的に増えている。

県障害福祉課によると、今年3月末現在、精神疾患で県内の病院に入院中の患者は3428人。一方、県が把握する精神障害者を対象にした県内のグループホームの定員は288人で、ほぼ空きがない状態だ。

引用:河北新聞2017年9月22日

先日、知り合いの議員の方に精神障害者の地域移行ついて尋ねたところ、「精神障害者の施設については、近隣住民の理解を得ることが本当に難しくて……」ということでした。自治体が率先して施設を建設しようとしたところ、反対にあい頓挫したこともあるそうです。

共同生活援助(グループホーム)サービス事業を行うには、都道府県や政令指定都市から事業者としての認可を受けなければならず、そのための要件を備える必要があります。要件としては、法人であることや設備基準、人員設置基準等を満たす必要があるなど、資金や運営上の問題も含め、簡単に事業者になれるわけではありません。

現状では、精神障害者専門のグループホームが圧倒的に足りないまま、地域移行が進められており、行き場のない障害者のために、「かねや南町ハイツ」のように大家さんの善意に頼るしかない「アパート」があることも事実です。そしてこの形態の「アパート」では、グループホームと同等の障害福祉サービスを受けられるわけではありません。

男性は2015年11月ごろ、管理人に就いた。アパートを運営する仕出し業者「よこてフードサービス」=横手市、佐々木安弘社長(48)=から届く朝晩の食事の配膳と後片付けのほか、ゴミ出しや廊下、風呂などの共有スペース、喫煙所の掃除などをしていた。

精神障害に関する特別な知識はない。「日常的なマナーを守れない入居者もおり、自分一人では手に負えない部分があった」。障害者を見守り支えていく活動の深遠さを知り、態勢が十分ではなかった実情を実感する。

精神障害者にも、賃貸アパートの門戸を開いていた佐々木社長は「病状によっては、訪問看護やヘルパーを受け入れていた。見守りの態勢に問題はなかった」と話しながらも、「管理人を増やした方が良かったと思う時もある」と葛藤を口にした。

精神障害者が1人で安定した生活を続けるのは容易ではない。「定期的に巡回訪問をするなどの支援が必要だ」と指摘するのは、メンタルクリニック秋田駅前(秋田市)院長で精神科医の稲村茂さん。「行政は障害者のニーズに応じて援助できる態勢を整えるべきだ」と強調する。

引用:河北新聞2017年9月23日 <横手5人死亡火災1カ月>社会の力集め 支援を

このような状況の中、誰が責任をもって地域での生活を見守っていくのか、行政にその役割が果たせるのか。その点についても、曖昧なままです。精神障害者が安定した生活を続けること、そのために、自治体や地域住民がどのように関わっていくのかについては、課題が山積していると言えます。