現在、精神科病院は早期退院が主流です。家族での受け入れや一人暮らしは難しく、かといって本人が施設入所を拒んでいる(つまり行き先が見つかっていない)ような場合でも、病院から退院を急かされ、家族が困ってしまうようなことも起きています。

これは病院に限ったことではなく、グループホームなど自立支援施設においても、似たような相談が寄せられるようになりました。

ご本人が10年以上も施設(グループホーム等)で暮らしていたのに、トラブルを起こしたことで退所を促されてしまった、今後どうしたらよいか…という相談です。

障害者の地域生活定着のために、さまざまな支援が行われていますが、今なお、障害を持つ方々が入居できる施設は、需要に対して供給が追いついていない状況にあります。言葉を選ばずに言えば、施設側が入居者を選り好みできる状況です。そして介護の分野と同じく、職員の数も足りていません。それゆえに施設の立場からすると、「なるべく手のかからない方を入居させたい」と考えます。

施設の方が口を揃えて言うのは、病状の重さよりも、対人関係が円滑にできるかどうか、が重要だそうです。職員にわがままを言う程度ならまだしも、他の入居者とトラブルを起こしたり、暴力を振るったり、物を壊したりといった行動があると、「受け入れることはできない」と言われてしまいます。

一昔前であれば、家族では本人を引き受けられない事情を鑑み、多少の問題行動も大目にみてもらえましたが、近頃は、その許容範囲も狭くなってきたように思います。

また、施設の多くは民間といえども、利用者からの負担だけでなく、自治体から給付費ほか助成を受けて運営されています。国の方針により予算がつかなくなれば、当然、運営は難しくなります。

介護報酬の減額などにより、グループホーム単体の事業では経営が厳しいのが大かたの認識です。実際に、今年4月の診療報酬・介護報酬の改定を見越して、早々に撤退している事業者もあると聞きます。

子供(またはきょうだい)が施設に入居できているケースでは、家族も「うちは大丈夫」と考えてしまいがちですが、本人の問題行動だけでなく、定期的に診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が改定されることを鑑みたとき、「絶対に大丈夫」とは言い切れません。

弊社には、きょうだいからの相談がとても多いですが、これまで両親がすべて対応してきて、他の子供たち(本人のきょうだい)はノータッチだった、という家庭は、注意が必要です。

「親が対応しているから」「本人が施設に入っているから」と安心するのではなく、これまでの経緯や現状をよく理解しておきましょう。とくに親が高齢になっている場合、実は本人の面会に行けていなかったり、緊急時に適切な対応がとれていなかったり、ということもあります。

家族(きょうだい)が本人の問題行動を把握できておらず、何の対応もとらなかったために収拾がつかなくなり、施設側から退所を促されたところで慌てても後の祭りです。

親から代替わりの時期を迎え、きょうだいの立場でどこまでのことができるのか。患者本人との関係性にもよりますが、可能であれば一度は施設に赴き、職員さんにも挨拶をするなど、人間関係をつくっておくことも方法の一つでしょう。そのようなひと手間が、大きなトラブルを生まない秘訣でもあります。